アイルミネ - 店舗受取ツール
OMO戦略を加速させる「店舗受取ツール」を開発。顧客体験の向上と店舗業務の効率化を同時に実現。
- クライアント
- 株式会社ルミネ
- デバイス
- iOS
- 担当工程
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- サーバー構築
- 開発
- 単体試験
- 結合試験
- 運用保守
- 開発言語
- Vue.js
- TypeScript
- Laravel
INTERVIEW
OMO戦略を加速させる「店舗受取ツール」開発

株式会社ルミネ
Eコマース部 早川 倫夫 様
Overview
株式会社ルミネ様が運営するファッション通販サイト「i LUMINE(アイルミネ)」の店舗受取サービスにおいて、顧客体験の向上と店舗業務の効率化は重要なテーマでした。
アドグローブは、お客様への提供価値と店舗オペレーション双方の課題を解決するため、二次元バーコードを活用した新たな「店舗受取ツール」を開発。
アナログな業務フローをデジタル化することで、スムーズな商品受け渡しを実現し、データに基づいた店舗運営の基盤構築を目指す店舗DXに貢献しました。店舗受取ツールについて教えてください
ルミネ早川様
ルミネは首都圏を中心とした国内16店舗に加え、海外にも2店舗を展開しており、ファッション通販サイト「i LUMINE(アイルミネ)」も運営しています。
現在、会社全体として目指しているのは、リアル店舗とデジタルをシームレスに融合させ、お客様に快適なショッピング体験やサービスを提供することです。 いわゆるOMO戦略の一環として、以前からアイルミネで注文した商品を各店舗で受け取ることができる「店舗受取サービス」を実施していました。
今回開発した「店舗受取ツール」は、そのサービスを提供する受取カウンターの業務を支援し、同時にリアル店舗でのお客様の利便性を向上させることを目的としています。
アドグローブ田中
お客様と現場のスタッフ、両方にメリットがあるということですね。
ルミネ早川様
仰る通りです。お客様にとっては待ち時間が短縮され、現場のスタッフにとっては、これまで手作業で行っていた業務をツールで代替することで、ヒューマンエラーの削減と業務効率化につながります。
店舗受取ツールを導入する前の課題を教えてください
ルミネ早川様
はい、大きく二つの課題がありました。
1つ目は、顧客体験における課題です。受取カウンターでの商品管理ステータスはアイルミネと即時連携されておらず、受取カウンターに商品が到着後、リアルタイムで受取可能のご案内が出来ていませんでした。そのため、お客様の「すぐに欲しい」というニーズに中々応えられていませんでした。 また、お客様に受取カウンターで注文番号を手書きで記入していただくフローがあり、手間と時間が発生していました。
2つ目は、店舗運営・スタッフにおける課題です。アナログな商品管理を行っていたため、入力ミスや確認作業に多大な工数がかかり、ヒューマンエラーのリスクも高い状態でした。 また、目視による煩雑な商品確認は、スタッフにとって「間違えてはいけない」という大きなプレッシャーになっていました。
なぜアドグローブをお選びいただいたのでしょうか
ルミネ早川様
もともとアイルミネのサイトデザインをお願いしていたのがきっかけです。
それに加え、今回はサイトのフルリニューアルと並行して、この「店舗受取ツール」を半年という非常にタイトなスケジュールで開発する必要がありました。数社比較検討した上で、この条件で対応可能なのは、アドグローブさんしかいないだろうという判断でした。
アドグローブ田中
ありがとうございます。 いずれもお任せいただいたことで、アイルミネ上の「店舗受取ツール」に対応する機能である受取用バーコードの仕様の調整をスムーズに行うことができました。
実際の導入プロセスはいかがでしたか?プロジェクトの進め方などで、何か印象に残っていることがあれば教えてください

(写真:ルミネ早川様)
ルミネ早川様
本プロジェクトは開始からリリースまで約6ヶ月でした。 ルミネからは私を含めたコアメンバーが4名、現場のスタッフを含めると100名以上が関わりました。
アドグローブさんのプロジェクトマネジメントは、非常に優れていたと感じています。 特に、最初のキックオフミーティングで、全体のスケジュールやゴール、対応範囲などがすべて網羅されており、非常に高い解像度でプロジェクトを始められたのが良かったです。
また、週1〜2回の定例ミーティングも、常に明確なアジェンダが設定されていて、スムーズに意思決定ができました。 何より、私たちの依頼に応えるだけでなく、「目的を考えると、こうした方が良いのでは」と積極的にご提案いただけたのが、非常に心強かったですね。
アドグローブ田中
ありがとうございます。一方で、プロジェクトを進める中で大変だったことはありましたか?
ルミネ早川様
ユーザー受け入れテスト(UAT)は予想以上に大変でした。 多様なケースを想定して作り込んでいただいた分、その全ての状況を再現してテストするのに苦労しました。 また、現場のスタッフへの展開も課題でしたね。特に、限られた時間の中で関連システムも同時並行で改修していたこともあり十分なテストデータがないまま操作方法を周知するのは難しかったです。
導入後の効果についてはいかがでしょうか。お客様やスタッフの皆様からの反響などがあれば教えてください。
ルミネ早川様
はい、大きな効果が出ています。
お客様へのアンケートでは70%以上の方が店舗受取の体験が「改善された」と回答されました。 「店舗受取ツール」の導入で、お客様をお待たせする時間が約3分の1削減できました。
スタッフへのアンケートでも、80%以上の方が商品管理業務が「改善された」と回答しています。 管理がしやすくなったという声はもちろん、「間違えたらどうしよう」という心理的な負担が軽減されたという意見も多く、安心して働ける環境にも繋がっていると感じます。
さらに、これまで記録できていなかった「お客様へのお渡し時間」や「マイバッグの利用率」といったデータを取得できるようになったことも大きな成果です。これらのデータを分析することで、新たな発見もありました。

(写真:アドグローブ田中)
アドグローブ田中
素晴らしい成果ですね。データ活用について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか。
ルミネ早川様
例えば、お客様がメールを受け取ってから来店されるまでの時間を分析したところ、約2割の方がその日のうちに受け取りに来られていることがわかり、お客さまの「すぐに欲しい」というニーズの高さを再認識しました。 当日受け取りが可能になったことで、受取カウンターの保管スペースの回転率が上がり、物理的な問題が緩和されたという効果もあります。
また、店舗ごとにマイバッグの利用率が大きく異なることがわかり、その背景を探ることで、現場のオペレーション改善のヒントを得ることもできました。
最後に、今後の展望についてお聞かせください。
OMO戦略のハブとして、ルミネならではの顧客体験(CX)を創出
ルミネ早川様
当社は2024年に公表した中期経営計画において、「リアルを基盤としたOMO戦略」を推進しています。デジタルでお買い物の選択肢と利便性を広げ、店頭での体験をデジタルで拡張することで、ルミネならではのCX(顧客体験)を創出することを目指しており、「店舗受取サービス」は、そのリアルとデジタルをつなぐ重要なタッチポイントです。
今回、データ活用の基盤ができたことは私たちにとって非常に大きな一歩です。この強固な土台を活かし、今後はお客様への提供価値をさらに拡張していきたいと考えています。例えば、多様化するお客様の購買行動への対応や、1to1マーケティングの実現などが挙げられます。将来的には、商品の受け取りだけでなく返品や試着といったサービスもこの仕組みと連携させ、よりシームレスな購買体験を追求することで、当社ならではのCXを強化していきたいです。

